幸せになりたい神様を拾いました
「おい」
あの1万円があったら・・・お寿司も高級ステーキも食べられたな・・・
「おい、お前」
1泊で優雅に温泉も行けたのに・・・
「おい、そこの娘」
缶ビールにナッツで夕食を終えようとしなくても、レストランだって行けた・・・
「おーい、おいおい、お主、そこのお前」
最近肩こりも酷いし、マッサージやエステでリフレッシュできたのに・・・
「おい!いい加減気づかぬか!!」
「!!!!!????」
雷に打たれたように、いや、打たれた事はないけれども、きっとそのくらいの衝撃がその声にはあった。
足音も気配もない、それなのに突然背後からの怒鳴り声に振り返るとそこにいたのは、膝丈まである銀の髪に白い装束を纏った、日本人ではない男性。
「ひっ・・・だ、誰・・・ですか・・・私、お金、なんて・・・もう、ないです・・・」
恐れおののく程見目麗しいこんな男性、1万円をガチャガチャに食われた私に何の用があるというのか。
まさか!!
よもやこいつがこのガチャガチャを設置したなんて事・・・
「おお、やっとこちらを向いたな、よしよし。お主、俺が見えておるな?」
「・・・見え・・・?はい・・・だって、いるじゃないですか、そこに・・・」
私が振り向くと、その人は嬉しそうに満面の笑みで私に近づいた。