幸せになりたい神様を拾いました


「ほぉ・・・これが人間の社か・・・」

突然訪れた状況についていけない私は、あれこれ説明を始めるイザナギを巻こうと、あっちへ走り、こっちへ隠れ、どうにかして家に帰れないか頑張ったものの、結局は行く先々へ先回りされており、「どうした、人間の娘、運動会か?」と無邪気に言うものだから、私は無駄に疲れた身体を引きずるように帰宅した。

「ちょっと・・・ここ、座って。」

「?うむ、なんだ??」

決して広くないワンルームのアパート。
そこにイザナギという男が増え、見た目にも物理的にも狭い事この上ない空間になってしまった。

聴くべき事は聴いて、これからイザナギがどういうつもりなのか話しておかないといけない。

とは言うものの・・・

「おお、なんだ、このデカい座布団は。」

「・・・それは、ベッド。座布団じゃありません。寝床です。」

「なるほど・・・べっどか・・・よいな。」

仮にも神様を床に座らせるのも如何なものかと、私はイザナギをベッドに座らせた。

「あなたは何者ですか?」

「俺は、さっきも言ったが神様だ。ただ、正確に言えば()神様だがな。」

「・・・どういう事?」

「神様も生まれ変わる、という事だ。」

「・・・・・・???」

あっけらかんと言い放つイザナギの言葉の意味が全くわからない。

神様が生まれ変わる・・・??

神様なんて本当にいるのか、そんな答えのない議論すら沸き起こる世界の話なのに、言うに事欠いて、『神様も生まれ変わる』???
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