それでも、精いっぱい恋をした。
「この前別れたからへいき」
別れ、た……い、言わせてしまった…。気まずい。これはだめだ。助けてもらっておいて嫌な気持ちにさせたらだめだ。
「だ、だ、大丈夫大丈夫、わたしもこのまえ片想いしてた相手に盛大にフラれたから!大丈夫です!いずれきっときみの魅力に気付くひとが現れるはずです!」
「さっきから思ってたんだけど同い年なのになんで敬語?」
「え、あ、なんとなくです!」
興味なしかよ!持たれても困るからいいけど。
敬語は、言葉づかい悪いからボロが出ないように。一応初対面だし、イケメンだし、付属高校のひとだし。
そんなこんなでラクをしながら修理屋にレッドボーイを持ってくることができた。
クラスメイト・ユズの兄貴に見てもらう。直らなかったらどうしよう……そうしたらわたしも一緒に死ぬよ。レッドボーイとならまんがの続きだってあきらめられる。
「おまえ、あんなイケメン連れて、ユズに隠れて浮気か?」
少し離れたところで本を読みだしたあの男の子を見てニタニタしてくる。
「ちょ、ちげーって!レッドボーイが重くて連れてくるのに手間とってたら助けてくれただけだから!」
揶揄ってくるような表情。クソみたいな性格してる似たもの兄弟。
「へーえ」
「だいたい浮気っつーけどユズにはフラれたっつの!あいつらに何か言ったらぶっとばすかんな!」
「おまえにぶっとばされるかよ」
「いいからレッドボーイ直せよ、直らなかったらヤブって呼ぶからな」
「終わったよ」
「さっさとしろ……え?道具も何も出さずに手でいじくってただけじゃねえかよ」
おまけによそ見して。いくらあまり金出せないからってテキトーにやるんじゃねえよ。
「ん」
ぽいっと汚ぇごみくずを投げられる。なんなんだよ。
「それ詰まってただけだから」
「……ええっ」
うそだろ?あんなに苦労して、付属高校の男の子にまで手伝わせて、ごみのせいで動かなかっただけ…?