俺、あなたのリアコです！

ミミってアイドル、聞いたことがある。男子の間でめちゃくちゃ人気のアイドルだ。俺は桜ちゃんの方が可愛いと思ってるけどね。

「そのミミさんが遅刻していて……」

それで一部のファンが怒鳴っているんだ。これは面倒なことになりそう……。何とかしないと広場に集まった人が全員帰ってしまう。

「あの人たちが怒鳴るのをやめさせたらいいんだよね？」

俺はそう言い、迷わずに琴葉ちゃんの手を掴む。琴葉ちゃんが「えっ！？」と驚く中、「音楽よろしく！歌う曲はこれで」と俺は言いステージへと歩いていく。

「ちょ、ちょっと待ってください！」

琴葉ちゃんが俺の手を振り解こうとする。俺が足を止めると、「あんな人たちを止めるなんて無理です！」と琴葉ちゃんは言った。

「私なんかの歌声で、あの人たちの怒りが鎮まるなんて思えません！きっと火に油を注ぐだけです！無駄なんです！」

自信なさげに言う琴葉ちゃんを見て、俺の顔に笑みが浮かぶ。今がチャンスだ。