俺、あなたのリアコです!
「琴葉ちゃんはすごいと思う。英語だけじゃなくて、イタリア語に中国語まで話せて歌えるんだから。世界中の人とつながって百人以上いるメンバーをまとめて、そんな人の歌声が届かないなんてことないと思うよ。俺、ルーンが保証する。桜ちゃん」

琴葉ちゃんの目が大きく見開かれる。そして「あなたが、ルーンさん……」と驚いていた。どうやら歌ってみた動画だけを視聴していたため、顔はわからなかったらしい。

「一緒に歌おう。きっと届くから」

こんな形でも一緒に歌えるなら幸せだ。俺が微笑むと、琴葉ちゃんは諦めたように歩き出す。俺たちはステージへと立った。



このステージなんて、普段ライブしているところに比べたら一番小さい。ステージを見ている人だって、いつもは何万人なのだからとても少ない。だからか、ライブみたいに緊張はあまりなかった。

「うっ……」

隣を見ると、カタカタと琴葉ちゃんは体を震わせている。初めてきっと人前で歌うんだろう。俺がそっと手を握ると、緊張を誤魔化すかのように強く握り返された。何だか嬉しくて幸せ……。
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