俺、あなたのリアコです!
「誰だよ、テメェら!」

「俺たちはミミたんの歌を聴きに来たんだよ!!」

心ない言葉に心が抉られそうになる。本当、こういう人たちって不快だ。桜ちゃんの歌を殺そうとしているんだから。

観客を見ていると、心配そうに何かを宙と話している英玲奈ちゃんが見えた。宙は俺を戸惑った顔で見ていて、真冬は「何やってんの!」と言いたげな表情をしている。

他の人たちは、何が始まるんだという顔や興味なさげだ。この人たちを一瞬でこのステージの虜にしよう。桜ちゃんの歌声ならきっとできる。

「桜ちゃん、歌う曲はこの歌だよ。桜ちゃんとウルフちゃんが歌ってた歌。俺がウルフちゃんのところを歌うね」

未だに震えている桜ちゃんに声をかけると、桜ちゃんは覚悟を決めたように頷く。そして野次を飛ばす人たちにニコリと笑いかけた。可愛い笑顔だから、一瞬にして野次がなくなってしまう。嫉妬しちゃうな……。

「ミミさんが来るまでの間、俺たちの歌を聴いてください!」
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