俺、あなたのリアコです!
宙にそう言われ、さらに凹んでしまう。推しと近づけるはずなのに近づけない。めちゃくちゃもどかしいよ……。

他のWMCメンバーはコラボをしてくれるのに、桜ちゃんだけは頑なにコラボをしてくれない。歌い手界では、男女が一緒になることがいけないみたいな空気が強いから怖いのもわかるけどね……。

「ライブとかあったらいいんだけど、WMCってライブしてないじゃん。話せなくても遠くから見てるだけでいいのに……」

「WMCメンバーは海外に住んでる奴が多いし、そもそも学生の集まりだからね。しょうがないよ。最年長が俺だし」

落ち込んだ俺の頭を宙が撫でる。四年もずっと桜ちゃんのリアコだ。想いだけが募っていって苦しい。どうして好きになっちゃったんだろう……。

「……しょうがないな」

泣き出したくなる俺に宙がスマホを見せる。そこには、都内にある動物専門学校の学園祭のチラシが写真で撮られていた。

「桜、この学校に通ってるんだ。今度の学園祭で桜の姿を見ろよ。声をかけるのは遠慮してもらいたいけど」
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