【短編】たぶん、その響きだけで。
「スミ、いつまで寝てるの。遅刻するわよ」

「……今日休む」

「あんたそう言って昨日も一昨日も行かなかったでしょ。ずる休みはね、慢性化したらずる休みって言わないのよ」



眠ったのかそうでないのか、分からない寝覚めの中、ママの謎理屈にひとり顔をしかめる。

観ていたのは、セナの夢だ。
夢と呼ぶには相応しくないくらい鮮明で、もうほとんど映像のようだったなと思う。


あの後。

簡潔に言えば、星は消えた。
星という存在すら、初めから無かったことになっていた。



「セナが学校に来たら行く」

「だからそのセナって誰のことよ。学校の先生も、そんな名前の生徒一人もいないって」



───あの喧騒の中、迷いの無い足取りでどこかへ行ってしまった、セナとともに。


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