哀しみエンジン
無機質
4年前──。
高校から部活の推薦をもらい、大学へと進学出来た俺。
そんな俺は、別に新しく始まる大学生活に、心を踊らせていた訳でもなかった。
とは言え、進学を承諾してくれた両親に、感謝はしている。
父親は、地元の少年サッカーの監督をしている。
その為か、スポーツ推薦について、然り気無くだが、喜んでくれていたようだ。
ただ、当時の感情は「無」に近くて。
ただ、自分でも訳が分からなくなるくらい、一生懸命になれるサッカーが続けられることが、俺の心を保っていた。
早速、お目当てのサッカー部のクラブハウスの棟があるという辺りまで、やって来たときのことだった。
大学の裏手の方にあるクラブハウスは、A棟、B棟と2つの建物に分かれている。
場所について、説明を受けた筈だったが、よく覚えておらず、立ち止まって、周りを見渡してみた。
サッカー部の先輩らしき人達も特に見当たらないので、今日はもう帰ってしまおうと思った。
次の瞬間だ。
無機質に近い俺を少しずつ、少しずつ変えてくれた人との出会いは。