哀しみエンジン
正義
******
先日、己の奥底に眠っていた純情を、不意に気付かされ戸惑ってしまった。
それからと言うもの、サークルの時はもちろん、普段の学内の生活でも、清水さんを目で追うようになっている。
たった今は1日の講義を終え、1人で部室へ向かっているところだった。
今日はサークル自体は無いのだが、昨日のサークル会議で消しゴムを忘れてきてしまった。
たかが消しゴム、されど消しゴム。
今日1日、シャーペンの頭に付いている、あまりにも小さな消しゴムで凌ぐのは、なかなかキツかった、と講義中には思っていた。
明日も同じ状況におかれて、イライラしたくなかった。
しかし、今となってはどうでも良くて、思っていたことも今ではすっかり忘れている。
イヤホンで音楽を聞き流している俺は、ほぼ無心だ。
クラブハウスの辺りまでやってきて、目的の部室前に数人の人が集まっているのが、目に入る。
その中には、大きな荷物を抱えた清水さんも居た。