哀しみエンジン
3人の男子生徒は、清水さんの道を塞いでいるように見える。
何をしているのだろうと、目を凝らして見ても、見なくても、何となく分かった。
大きな段ボールを抱えた清水さんを、彼等が助けようとしている訳でもなさそうなことくらいは。
俺は苛立ち、イヤホンを耳から引き抜く。
3人組の男子生徒に歩み寄り、何も考えず声を掛けた。
「邪魔なんですけど。そこで突っ立って居られると」
一番に目が合ったのは、清水さんとだった。
微かに顔を赤くして、若干、汗が滲んでいる。
いつも真剣な眼差しか、微笑んでいるか、どちらかの彼女がこんなにも困っている。
腹立たしかった。
それは、その3人の正体に気付いたら余計にだ。
俺の知っている中で、特に人の神経を逆撫でるのが上手い奴等。
「うわ、直江じゃん」
「サッカー辞めて、こんなサークルに入ったのかよ」
──「こんな」サークルだと?
気に入らない。
とことん、こいつ等が気に入らない。
だから、もうあの時のように我慢なんてせずに、いい加減に遠慮なく言ってやってもいいだろう。
だって、清水さんは俺のこんなところを「正義感」なのだと、教えてくれたから。