哀しみエンジン
「先輩方『サッカー辞めて』なんて言っちゃってますけど。自分等そもそも、やってないじゃないですか、サッカーなんて」
3人とも、顔をカッと赤くさせる。
事実を述べてやったまでだ。
実際にこの先輩等が、ボールを蹴っている姿なんて、入学してから一度として見たことは無い。
「ろくに練習もしないくせに、まるで自分等は『サッカー部』で居るつもりですか」
「なっ」
「その上、こうやって一生懸命している人の邪魔ばかりして。一度でも、この人の様に、他人の為に動こうと思えないんですか」
「お前、黙って聞いてりゃ……」
「未だにサッカー部があの頃のままだ、って言うのなら……まぁ、とてもじゃないですが、今していることも自分自身の為にすら、なっていないんじゃないかな、と俺は思いますけど」
本当は所属している時に、言ってやりたかった。
そうしたら続けられる希望も、少しはそこに在ったのかもしれない。