哀しみエンジン
清水さんの本心が知りたい。
貴女が想っているのは、誰なのか。
それが知りたい。
もう少し、会話を続けたい。
先輩の元に帰したくなくて……なんて台詞、あまりにクサ過ぎる。
俺にはクサすぎて、顔から火が出そうだ。
何か良い適切な話題はないかと、探す。
頭をフル回転させていると、清水さんと視線が重なる。
「じゃあ、私から1つだけ」
「どうぞ?」
柄にもなく、何を言われるのか、ドキドキしている。
更には、清水さんの意味深な笑みが、より動悸を激しくさせていく。
「直江くん、このサークルで友達、出来たんだ?」
嬉しさを抑えきれない清水さんの口角は、既に上がり気味だ。
そんな質問か。
安心したような、照れ臭いような、だ。
「……有り難いことに、仲良くしてもらってます」
「そっか、そっかぁ」
俺のことなのに、またこの人はこんなに嬉しそうにしてくれる。
これだけは、いつも不思議でならない。
「いつも気になってたんですが……何で清水さんが、そんなに嬉しそうにするんですか?」
「それは……」
清水さんは、考え込んでいる。
少し悩んだ末、彼女の視線が俺に戻ってきた。
「何でだろうね?」
「え?」
「嬉しいから嬉しい。としか、言えないかな」