哀しみエンジン
それじゃあ、まだ納得が出来ない。
ちゃんと知りたい。
「じゃあ、聞き方変えます」
「はい、どうぞ」
「どうして、清水さんはボランティアを自発的にする程、他人の為に動こうと思えるんですか」
「ええ……?」
清水さんが困っている。
それでも彼女の原動力が、何なのか知りたい。
「やっぱり内定に関わるから、ですか?」
「うーん……それもあるし、自分の為かな」
「自分の為?」
「うん。大した力の無い私でも、誰かを助けられたと思うと、嬉しいというか。『ありがとう』なんて言われたら、やっぱり気持ち良いよね」
「まぁ、そうですね」
「うん。見返り求めちゃ駄目かもしれないけど、やっぱり求めちゃうよね」
意外だった。
もっともっと綺麗事を言われると思っていたが、割と人間味があって、安心した。
それなら、求められているのなら、ちゃんと俺も清水さんに返さなければ。
「いつも、ありがとうございます」
「え、どうしたの。急に」
「いつも、清水さんには助けてもらってばかりなので、改めて」
「ちょ、ちょっと本当にどうしたの。照れるなぁ」
謙遜をしてはいても、きっと彼女のことだから、受け止めてくれているだろう。
そうじゃなきゃ、困る。
ちゃんと伝わっていてほしい。