哀しみエンジン
告白
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最初、不純な動機で入ったサークルも、今では楽しくて、俺にとっては憩いの場となっている。
充実した日々を送っていたら、いつの間にか清水さん達も最終学年の4年生となっていた。
清水さんと服部先輩が、サークルのトップとなった初めての会議で、俺と同学年の椿さんが花見の提案をする。
サークルのメンバー全員が賛成で、行けるメンバーで行くことになった。
とりあえず、飲み物や食べ物の買い出しには、新部長の服部先輩と椿さんが行くらしい。
また後輩の女子と2人きりになるなんて、清水さんの誤解を招くだけだろ。
「じゃ、じゃあ、私は先に現地に行って、場所取りしとくね」
「「え」」
ほら、言わんこっちゃない。
何が「え」だ。
清水さん、拗ねているじゃないか。
俺には分かる。
「気持ちは有り難いが、1人でわざわざ行かなくていい。みんなが揃ってからでもいいから」
「平気。まだ明るいし。そんな心配される年でもないよ。知らない人にはついて行きませんので、ご心配なく」
「俺が言いたいのは、そういう事じゃなくて――」
結局、空気の読めない先輩は、清水さんを買い出しに誘うことはなく、ほったらかしにする。
何故、そこまで頑なに誘わないのか。
何を勘違いしているのか知らないが、服部先輩だって、清水さんが好きなくせに。
2人は、両想いなくせに。
いっそのこと、付き合ってくれた方が吹っ切れるかもしれないのに。
だんだん腹が立ってきた。
それなら、俺が先を越して、上手くいったら自慢してやる。