哀しみエンジン



******



場所取りも無事、済ませた。

そして、辺りは暗くなりはじめ、メンバーも続々と集まり、花見の宴が始まる。

俺は、諦められないくらいに、夢中にさせられたのが悔しくて、せめて思い出を少しでも増やそうと、清水さんの隣を陣取っていた。

中盤になると、かなり盛り上がり、全員がいい気分になっている。

そんな頃に、服部先輩は俺たちの輪にやって来た。

だからと言って、別に追い返すことなんてしない。

そんなことはどうでも良いとして、だ。

やって来たは良いが、相変わらず後輩である椿さんの隣に腰を下ろす。

その上、清水さんには関わろうともしない。

清水さんに至っては、顔を赤らめるだけで、服部先輩を見ようとしない。

──お互い、いつまでそんなことをしてるつもりなんだ。

俺が、やきもきする。

数分経っても、その状況が変わることは無さそうだ。

とうとう俺も辛抱出来なくなる。



「──俺、清水さんに告白しちゃいましたけど?」



俺の言葉に、服部先輩は顔を引きつらせる。

その表情に、ますます苛立つ。

──そんな顔するくらいなら、さっさと行動してしまえ。

剣呑な2人の雰囲気を察した清水さんが、間に入ってきた。



「ちょ、ちょっと、やめて。みんなの前でそんな話……それに、服部くんは関係ないのに」



全く、いつまで、そんなことを言っているつもりなのか。

< 41 / 44 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop