哀しみエンジン
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場所取りも無事、済ませた。
そして、辺りは暗くなりはじめ、メンバーも続々と集まり、花見の宴が始まる。
俺は、諦められないくらいに、夢中にさせられたのが悔しくて、せめて思い出を少しでも増やそうと、清水さんの隣を陣取っていた。
中盤になると、かなり盛り上がり、全員がいい気分になっている。
そんな頃に、服部先輩は俺たちの輪にやって来た。
だからと言って、別に追い返すことなんてしない。
そんなことはどうでも良いとして、だ。
やって来たは良いが、相変わらず後輩である椿さんの隣に腰を下ろす。
その上、清水さんには関わろうともしない。
清水さんに至っては、顔を赤らめるだけで、服部先輩を見ようとしない。
──お互い、いつまでそんなことをしてるつもりなんだ。
俺が、やきもきする。
数分経っても、その状況が変わることは無さそうだ。
とうとう俺も辛抱出来なくなる。
「──俺、清水さんに告白しちゃいましたけど?」
俺の言葉に、服部先輩は顔を引きつらせる。
その表情に、ますます苛立つ。
──そんな顔するくらいなら、さっさと行動してしまえ。
剣呑な2人の雰囲気を察した清水さんが、間に入ってきた。
「ちょ、ちょっと、やめて。みんなの前でそんな話……それに、服部くんは関係ないのに」
全く、いつまで、そんなことを言っているつもりなのか。