哀しみエンジン
不満
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あれから無事、服部先輩のお陰で、サッカー部へ入部することが出来た。
しかし、そこは俺が想像していた場所とは、まるで違った。
それに気が付いたのは、1ヶ月も経たない頃だった。
「お疲れ様です」
部屋の扉を開いて、挨拶をしても返ってこない。
人が居ない訳じゃない。
目の前には、ちゃんと大騒ぎをしている先輩たちが居る。
それなのにだ。
くだらない話をしては、大笑いをしている。
そのうちの1人の先輩が、ようやく入ってきた俺に気付く。
「おう、直江」
「……お疲れ様です」
「お前もこっち来いよ」
「いえ。結構です」
先輩の方へ視線を向けることもなく、練習着に着替える。
鋭い視線が容赦なく刺さり、痛いが完全なる無視を貫く。
この部室の中で、準備をしているのは俺を含めて、ほんの数人。
俺が想像していた場所と違い、絶望していた理由は、先輩たちのこの怠慢な態度のせいだ。
みんながみんなという訳ではないようだが、新入生の数人は、あちら側に取り込まれている。
己の意思かどうか、そんなこと、俺の知ったことではないが、後に後悔しないのか。
では、何の為にここに入ったのか。
非常に理解しかねる。