哀しみエンジン
それからは唯一好きなものであるサッカーでさえも、とりあえずしているという風に、なあなあにして1年間を過ごしてきてしまった。
好きなことを、嫌いになりかけていく過程は、あまりにも苦しく、空しいものだ。
それでも続けていたのは、服部先輩が居てくれたから。
それなのに、どうしたことか、ある日から先輩も幽霊部員となった。
ロッカーには、名前だけが残っている。
それを横目に見る度に、悲しくなった。
──どうして、一番、真面目に頑張る人が、居たいはずの場所に居られないんだ。
もう、ここに残っている誰からも、やる気は伝わってこない。
1人じゃ、何も出来やしない。
こんな所、居続ける意味も無い。
そもそも耐えられない。
俺も無断で、部活を休むようになっていった。