音楽はいつも一緒に
　新居についた。一軒家。それまで住んでいた狭いマンションとは比べものにならないほどの大きさ。

　歩いて二十分ほどのところにはおばあちゃんたちも住んでいる。

「中古には見えないわね」

「いい物件を見つけたよ」

　と、家の感想を述べているお母さんたちから鍵を受け取って早速家の中へと脚を運んだ。

　靴を脱いで、その先に何があるかわからない扉を一つ一つ開けていって、部屋を確認していった。

「えっ」

　一階のある部屋の扉を開けたとき、目の前に現れたそれに声を出さずにはいられなかった。

「お、お母さん、ピ、ピアノが、グランドピアノがあるっ」

　まだ外にいるお母さんのところに靴も履かずに駆け寄って、その服を引っ張った。

　あまりの興奮に、語彙力が著しく低下する。

「ピ、ピアノが、えっ、なんで？」

「おばあちゃんとおじいちゃんからのプレゼントだって。サプライズ成功かしら？」

「えっ、ほんと？　やば、すごっ」

「よかったじゃん」

　お姉ちゃんはペットボトルの中に入ってる水を全て飲み切った。
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