LOVEPAIN⑦シリーズ全完結しました
「俺は、お前の事が本当に好きだった。
あんだけ側に居た芽衣子よりも、きっと。

だから、今日、最後にお前に会えて良かった」


「成瀬さん…」


そんな、もう二度と会えないような事を言わないでよ、と思うけど。


私はナツキの元へと戻らないといけない。


だから、もう成瀬には会えない。


本当は、今日も会えないはずだった。


だけど、今日、会えた。



「もうクリスマスだな」


成瀬は、自分の腕時計を見ている。



もう0時を回ったのだろう。



「私、帰りますね」


私は立ち上がり、座ったままの成瀬を見る。



「ああ。
広子、幸せになれよ」



「はい。
成瀬さんも」


そう言った私の言葉に、成瀬は頷かず微笑むだけ。



「じゃーな」


成瀬はこの時間がもう終わりだと言うように、
私から目を反らして、またそのワインを飲み出した。



私は、成瀬に背を向けて歩き出した。



いつか、AVを辞めてこの事務所から出て行った時を、思い出した。


今日、ここで成瀬と色々話したけど、
私のAV女優としての話は一度もしなかったのは。



もうAVを辞めた私を、気遣ってくれたのだろうな。


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