LOVEPAIN⑦シリーズ全完結しました
「薬、だと思った?
俺が飲んでたのは、殆どビタミン剤。
先生に頼んで出して貰ってた。
最近、よく口内炎出来たり貧血っぽくて。
後、まー、色々理由付けて、何種類か」


「えっ…」



確かに、私も以前貧血で鉄剤出して貰った事が有ったけど。



「美容室行けないのは、演技。
そのビタミン剤も、薬だと思わせていたけど」



「なんでそんな事を?」



「んー、俺がもう大丈夫って知ったら、
広子がまた居なくなると思ったから」


「そんな…。
きっと、居なくならなかったよ」


私は、もうずっとナツキと居ようと思って、此処に来たから。



「ありがとう。
広子が側に居てくれたから、もう俺は大丈夫だから」


そうやって笑う顔は、本当に大丈夫なのだと私を安心させてくれた。



「じゃあ、ナンバーワンの座をケイから取り返しますか」


そう言われ、最近会った須田の姿を思い出した。


最近の須田は、本当にナンバーワンのホストなのだと、その貫禄が凄くて。


ずっと休んでいたナツキが、そんな須田に勝てるのか、
ちょっと不安になってしまう。



「なに?その無理だろみたいな顔」


「いや、そんな事…。
ただ、ナンバーワンになるって、凄く大変なんじゃあって」


「昔はナンバーワンになるのに3ヶ月かかったけど、
今の俺なら3日あれば充分だし」


そう言って自信満々の顔は、
私がよく知っているナツキで。


ずっと、その顔が見たかった。



「俺を、誰だと思ってんの」


本当に、良かったと、涙が込み上げて来る。



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