LOVEPAIN⑦シリーズ全完結しました
「そうでしょうね。
アイツは、辞めない」



「会社を失い、借金迄背負った成瀬ちゃんの方が、
負った傷は深そうだけど」



「骨迄切っても、相手の肉しか切れなかった感じでしょうか」


そう笑っている成瀬の声を聞いていると、
なんで?と思ってしまう。


なんで、成瀬はそんな捨て身になってまで、
その金村監督を陥れたいのか。



「本当は、広子ちゃんを金村の餌にしようとしてたんでしょ?
最近のアイツは、業界最大手のWDSに在籍していて、気に入った単体女優しか撮ってなかったから、
ちょっとやそっとじゃ、金村には近付けないもんね」


「広子を初めて見た時、この子ならいけると思いました。
金村の所まで」


「ふーん。成瀬ちゃんの広子ちゃんの執着は、見ててちょっと異常だったもんね」



「まぁ、俺自身も、広子の事すげぇいいと思ったのもあって。
だから、広子には特別拘ってしまってた」



「それが、好きでたまらない広子ちゃんを、AV女優として使い続けていた理由なんだ。
金村に近付く為には、広子ちゃんが必要だもんね」



「一体いつから分かってたのか知らないですけど、
コウジロウさん、広子の事潰そうとしたくせに?
もしかしたら、あれで広子辞めてたかも知れませんよ」


その言葉で蘇るのは、コウジロウさんとの最後の撮影。


監督である彼が、最後の撮影の相手は自分だと言い。


私は、心底この業界の人間を嫌いになった。



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