LOVEPAIN⑦シリーズ全完結しました
「俺の復讐に利用されている、広子が可哀想だと思いました?
その前に、止めようと」


「いや。俺はそんな善人じゃないよ。
金村と同じで、俺もこの世界にどっぷりと浸かってるから」



復讐…。


成瀬は、金村監督に復讐しようとした。


それは、私を使って。



にしても、コウジロウさんは成瀬の事、色々知ってるんだな。


「けど、やっと念願叶って金村に広子ちゃんを撮って貰える事になったのに、
結局撮らないようになったんでしょ?
聞いた話だと、あの篤って子が邪魔したとか。
篤君、広子ちゃんとデキてたって。
成瀬ちゃんの事だから、二人がデキてるの知っててそうやって、
揉めさせたんだろうけど。
それで、金村がヤバイ連中を撮影に使おうとしていて、
それなりに会社に注意受けたみたいだけど、
復讐としては弱いよね?」


「金村に広子を使って近付いて、って思ってましたけど、具体的にどうしてやろうとは思ってなくて…。

いや…。
ちょっと頭に有ったのは、撮影中に広子にちょっと怪我して貰って、それで金村をこの世界から抹殺してやろうと思ってました」



なんとなくだけど、
成瀬の言う、そのちょっとの怪我は、
私が思うちょっとの怪我の範疇ではないような気がした。



「それをしなかったのは、やっぱり広子ちゃんが好きだから?」



「いえ…。
俺が好きだったからじゃなく、
篤が広子の事を好きだったから。
あの時、篤と広子が付き合ってなかったら、
俺は広子を犠牲にしてたかもしれない」


「かもしれない、か。
言い切らない所をみると、成瀬ちゃんはきっと広子ちゃんがそうなる前に止めていたよ」



なんだか、二人の会話を聞く事が段々と怖くなって来た。


これ以上と、思うけど、足が動かない。


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