LOVEPAIN⑦シリーズ全完結しました
「よぉ、篤。
お前に言われたように、地獄に落ちたぞ」




‘ーーお前なんか、地獄へ落ちろよ。

俺があんたの事、いつか地獄へ突き落としてやるからーー’



いつか、篤が成瀬に言ったその言葉。



その時は気付かなかったけど、
全てを知っていた成瀬は、
わざと篤をあの時怒らせたのだろう。



篤が自分を裏切っている事を知っていて、
そんな篤が、成瀬に対して罪悪感を持たないように、
わざと篤に嫌われるように。



「なんて。
別にお前のせいじゃねぇから。
俺、初めから分かってたから」


「ネネから聞きました。
成瀬さん、分かってたって…」


その篤が口にしたネネの名前は、
あのナナちゃんと名乗っていた子の、
本当の名前なのだろう。



「そう言う事だから」


「けど、すみませんでした!



篤はそのままその場に、土下座をした。


「俺が成瀬さんを裏切ったのは変わらない。
どうしても、纏まった金が欲しかったんです。
すみません…」


その篤の声は、泣いている事が分かった。


頭を下げているから、その顔は見えないけど。



「じゃあ、今度、飯でも奢れ」


その成瀬の言葉に、篤は顔を上げた。


その目からは、涙が流れていた。



< 150 / 173 >

この作品をシェア

pagetop