LOVEPAIN⑦シリーズ全完結しました
「俺、二度と俺の前に現れるな、って言わなかったっけ?」
そうナツキに睨まれて、ごめん、と謝ってしまった。
「けど、ナツキ元気そうだね?
良かった。
言っていたように、ナツキはナンバーワンホストに戻ったんだね」
店の外にナンバー順に並ぶナツキの写真を見て、それを確認した。
「特に頑張ってないんだけど、
呆気ないくらいに簡単で。
この仕事、天職なのかも」
その余裕な感じ、本当にナツキらしい。
「そうそう。俺就職が決まって。
その就職祝いで今日は飲みに来た。
あ、これ、新しい名刺」
成瀬は私の前で、その名刺をナツキに手渡していた。
「へぇ、映画の配給会社の営業」
その名刺を見て、ナツキは新しい成瀬の職業を口にした。
その就職先は、なんでもコウジロウさんの紹介だとか。
「これなら、また警察に捕まる事も無さそうだしいいじゃないですか」
ナツキは、まだその成瀬の名刺を見ていて、
ため息を付くと、また口を開いた。
「名刺であんたの名前見た時から、ずっと気にいらなかった」
ナツキはその成瀬の名刺から、
成瀬本人に目を向けた。
「同じ、遥だから?」
成瀬は、何かに気付いたようにそう言った。
「知ってたんですか?」
「ほら?あの子姓名判断の類いが好きなんだろ?
待ち時間に話した時に、俺の名前も見てやるって言われて。
なんかそれ系の本持ってて」
その成瀬の言葉から。
まさか、と思うけど。
「アイツと同じ名前で、マジか、って思った」
やっぱり。
ナツキの幼馴染みの元彼女の名前は、
成瀬と同じ遥なんだ。