LOVEPAIN⑦シリーズ全完結しました
成瀬に連れられ、病院の救急外来へと行くと、
その廊下で、警察官と話しているモモさんの姿が目に入った。


モモさんは、私と成瀬の顔を見て、
嬉しそうに手を振っている。



「社長、迷惑掛けてごめん。

失敗しちゃって」


ケロッと、モモさんは笑っている。



成瀬はそんなモモさんに真っ直ぐと歩いて行くと、
廊下に大きな音が響くくらいに、
モモさんの頬を平手で殴った。



「ちょっと、あなた何してるんですか?!」


近くに居たその警察官は驚いて、
成瀬とモモさんの間へと立つ。


「モモ、てめぇ何ふざけた事してんだ!
なんで死のうなんて」


「よく言うよね。
あんた、私らAV女優を食い物にしてるくせにさ」


モモさんは今まで見せた事がないくらいに、その顔には怒りや悲しみが浮かんでいる。


だから、成瀬も何も言い返せなくて、口を閉ざしている。



「もしかしたら、私だけじゃなくて、
あんた広子も殺してたかもよ?」


モモさんは、私に視線を向けると、
成瀬に視線を戻して、睨むようにその顔を見ている。


「気付くよ。
あんたと広子の仕事以上に何か有ります、みたいな雰囲気」


モモさんのその言葉に、
成瀬は否定する事はなく。


二人から少し離れた所に居る私も、
口を開け無かった。


「広子、ナツキはあっちの処置室に居るよ。
私じゃなく、あんたはナツキが心配だから来たんでしょ?」


モモさんの事だって心配で、と思うけど、
そう言ったら、モモさんが次に何を言うのか怖くて、
何も言えなかった。


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