LOVEPAIN⑦シリーズ全完結しました
「やっぱ、気付いてたか?」


そう言う成瀬も、篤に知られている事を知っていて。


私だけが、何も気付いて無かった。



「楽しかったっすか?
俺がこいつに惚れてんの成瀬さんも気付いてたでしょ?
だから、そんな俺の目の前で、こいつの事気ぃ持たせて突き放したりして、
楽しかったか訊いてんだよ!」


そう怒鳴る篤は、今にも成瀬に掴みかかりそうで。


見ていて、辛い。


あれ程、成瀬と篤は仲が良かったのに、
そんな二人の関係が目の前で壊れて行くなんて。


「楽しかったな。
今も、お前からこうやって広子の事を奪い取って、
楽しくて仕方ねぇな」


「成瀬さん!
もう本当の事言って下さい!」


「うるせぇ。
お前は口出すな!」


成瀬はそう私に怒鳴ると、
篤の方へと一歩近付く。



「お前はもう広子に近付くな」


その言葉に、篤の目が動揺したように揺れた。


「…お前なんか、地獄へ落ちろよ。

俺があんたの事、いつか地獄へ突き落としてやるから」


篤はそう言うと、成瀬と私の横を通り過ぎ、
そのままアパートの部屋へと、鍵を開けて入っていた。


バタン、と強い音がしてドアが閉まった。

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