LOVEPAIN⑦シリーズ全完結しました
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「篤、すげぇ怒ってたな。
仕方ないか」
私をナツキの元へと送り届けてくれる、
そのアルファロメオの中。
軽口を叩くように、成瀬はそう口にした。
「あんなに篤の事怒らせる必要ありました?」
無かった、と私は思う。
「あれで、篤はもうお前を追わないだろ」
成瀬はそう言うけど、
篤は去る私を追う気は無かったと思う。
けど、さっき私達の前に現れた篤は、
出て行く私を引き留める為に、
引き返して来てくれたのだろうか?
もしかしたら、何か忘れ物をしただけかもしれないし、
もう私が居ないと思って帰って来ただけかもしれないけど。
「ただ、本当にこれで良かったのか、
俺も分からない。
篤とお前が別れて」
「私はナツキの元に戻ると決めたんです。
ナツキは私が居ないと、ダメだから」
病院で見た、ナツキの弱った姿。
「ナツキはお前が居ないとダメだろうけど。
お前が居ても、ダメなような気もする。
共倒れ、になりそうな気もする」
成瀬の言うように、そうかもしれない。
私はナツキを支える事も、救う事も出来ないかもしれない。