LOVEPAIN⑦シリーズ全完結しました
「ケイ、わざわざどうしたの?
とりあえず、座れば。
何か飲む?」


ナツキは須田が座れる場所を考えてか、
L字に並ぶソファーの、端に座る。



「いえ。
俺、店長に頼まれてナツキさんの様子ちょっと見に来ただけなんで。
この後もすぐ、客と待ち合わせで。
あ、これ、ナツキさんの好きなあの店のチーズタルト買って来たんで、
冷蔵庫入れときます」


須田は以前此処に住んでいたからか、
勝手知ったるといった感じで、
そのチーズタルトが入った箱を冷蔵庫へとしまっていた。



「店長はナツキさんの復帰を信じて庇ってるけど、
オーナーがそういう中途半端が嫌いみたいで」


「別に、クビにしてくれていいのに」


「そんな事言わずに、ナツキさんまた一緒に働きましょうよ?」


「今の俺は、ケイのヘルプにも付けないから。
変わらず、今もケイはナンバーワンなの?」


「まあ、おかげさまで」


そう言う須田は、少し見ないうちに本当にホストとしての貫禄が出ていて。


私と付き合っていた頃の須田とは、
別人みたい。


二人の会話は部外者の私にはよく分からないけど、
このままだとナツキはあの店を辞めさせられるって、事なのだろうか?



「俺、そろそろ行きます。
広子、ちょっと玄関先迄来て貰っていい?」


「えっ?」


須田はリビングの扉の前へと立ち、私にこっちに来いと促す。



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