LOVEPAIN⑦シリーズ全完結しました
「ナツキさんが病院に運ばれた時、
うちの店長が迎えに行ったから、
うちの店で、何人かはナツキさんのその事知ってて。
だから、今、広子が此処に居るのは…成瀬さんとってのは、嘘で…」


「そう。ケイの思っている通り。
広子は死に切れ無かった俺に同情して、大好きな篤君と泣く泣く別れて此処に来た。
その成瀬さんがどうとかは知らないけど、お節介なあの人が、そうやってまた関わってるんだ」


「…篤、お前と成瀬さんの事勘違いしてて…。
俺なら、篤にその誤解を解いてやれるけど…」


どうする?と言うように、須田は私を見る。



「篤には、誤解させたままでいい。
私は篤の元に戻るつもりはないから、
いっそのこと、とことん篤には嫌われている方がいい。
なんなら、成瀬さんだけじゃなく、こうやってまたナツキの所にも来て、
アイツは男にだらしない最低な女だって、伝えておいて」


とことん篤に嫌われた方が、
私も未練を絶ち切れるし。


それが篤の為になる。


「分かった。
ただ、篤の幼なじみの斗希って奴が、
お前に凄いキレてるみたいだから、
外歩く時は、気を付けろ。
俺や篤と違ってまともな奴みたいだから、
ヤバイ事はしないだろうけど」


その須田の言葉で、
引っ越しの時に一度会った、あの斗希さんの事を思い出した。


きっと、彼は篤を傷付けた私を恨んでいるだろう。



「分かった、気を付ける」


「じゃあ。
ナツキさん、また」


須田はそう言って、このマンションの部屋から出て行った。

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