LOVEPAIN⑦シリーズ全完結しました
「お前、本当に頭悪過ぎ…」


そう言ったナツキの呼吸が苦しそうで、
胸を押さえてゆっくりと俯いている。



そのナツキの過呼吸の症状を見て、
私は慌てて、ナツキに近付きキスをした。


二酸化炭素を、ナツキにそうやって送り込む。



以前、ナツキの主治医である榊原先生は、
ナツキに出している薬は睡眠薬だけだと言っていたけど。


あれから増えたのか、
今のナツキはその睡眠薬であるハルシオン以外にも、
何種類かの薬を服用している。



私はそっと、ナツキから唇を離した。




「…広子、居なくならないで」


そう言って私を抱き締めるナツキを、
私も抱き締め返す。


「私は、もうナツキから離れないから」


篤から離れて此処に来てから、
私自身も体調が悪くなっている。


時々、発作が出そうになる。


‘ーーお前が居ても、ダメなような気もする。
共倒れ、になりそうな気もするーー’


成瀬の言ったように、本当にそうなるのかもしれない。


ナツキの闇に、引きずられそうになる。


此処に来てから、時々頭に過る。


もう、生きる事がしんどいなって。



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