LOVEPAIN⑦シリーズ全完結しました
10月になり、私は髪を黒く戻した。


黒い根元がかなり伸びて来て、汚くなっていたのもそうだけど、
今の私は特に出歩く事もなくて、
誰かに顔を指される事もないから。


だから、もう元のままでもいい。


「やっぱり、広子はこっちの方がいい」



美容室で髪を黒く染めて帰って来た私を見て、
喜ぶナツキを見ていたら、こうして良かったと思った。


肩迄伸びた髪は切らずに、すいて貰った。



私はソファーに座り、ナツキの伸びた黒い髪を手で梳く。


ナツキが最後に髪を切ったのはいつかは分からないけど、

耳が隠れ、伸びた前髪はサイドに分けている。



「広子、髪切って?」

「えっ、私が?」


「そう」


「けど、私なんかが切るより、
美容室とかに行った方が」


私なんかが切ったら、どんな変な髪型になるか分からない。


「行けないから、言ってんの」



ナツキの症状は私より酷いのか、
今のナツキは、美容室にさえも行けない。


あの拘束される感じが、怖いのかもしれない。


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