LOVEPAIN⑦シリーズ全完結しました
篤の方が、私が声を掛ける前に気付き、
こちらに驚いた視線を向けた。


髪型も髪の色も、体型も変わった様子のない、篤。


元気で居てくれた事に、安心した。



「…もしかしたら、来るかと思ってたけど」


篤は何処か敵意の宿る声で、
吸っていたタバコを灰皿にもみ消していた。



「篤も、ニュース見たんだ?」


「成瀬さんの事だろ?
つーか、村上から聞いたけど、あの後成瀬さんともすぐ終わって、
またあのイケメンホストと寄り戻したみてぇじゃねぇか?
相変わらず、男を転々として、いい身分じゃあねぇか」



須田は、私が望んだようにちゃんと篤に伝えてくれているみたい。


私を憎むようなその目を見ていて、思う。


「篤、あのナナちゃんって子。
本当は17歳で。
篤も騙されていたんだよ」


もしかしたら、篤が最初に事務所に紹介した時は、それより若い16歳だったかもしれない。


「騙されてたんじゃなくて、俺が騙したんだよ」


「どういう事?」


篤があのナナちゃんを、騙してって事?


「事務所に紹介した俺が、あの女の年齢知らねぇわけねぇだろ」


それって…。


篤が、成瀬を騙したって事。


「アイツがナナって名前なのも嘘だ。
本当のナナはあいつの姉貴で、あいつら姉妹顔がすげぇ似てるから、
あいつの姉貴の原付の免許証を成瀬さんに提出させたんだよ」


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