LOVEPAIN⑦シリーズ全完結しました
「広子は篤から何て聞いてる?
今日、この辺りに居たって事は、
篤にも会ったんだろ?
ほら、すぐそこで篤バイトしてるから」



「会った。
お金の為に、成瀬さんを騙したって聞いた」



「じゃあ。
そういう事なんだろう。
特に俺がもう話す事なくない?」



そう言われ、言葉に窮してしまうけど。


本当に、お金の為だけなのだろうか?


篤がお金欲しさだけで、成瀬を裏切るとは思えない。



「俺も広子が思ってる程、この件は知らないから。
俺が篤がその成瀬さんを嵌めたのを知ったのは、
篤の部屋で一緒に居る時に、ちょうどそのニュースが流れていて。
篤がそれで話してくれて」


「篤は、なんて?」


「多分、広子が聞いたのと、そんな変わらないと思うけど。
金の為に、って。
俺も知らなかったけど、けっこう前から篤の奴、色々根回ししてたみたいだな。
事務所の女の子に、引き抜く為に近付いたり…」


それを聞いていて、篤に好意を寄せていた、あのユメちゃんを思い出した。


彼女は単体女優。


そして、篤と体の関係がある、マリンさんも単体。


モモさんは単体ではないけど、
あの事務所で、かなりの主力のAV女優。



かなり前の篤との事を思い出した。



いつかの成瀬企画の飲み会の後、

私がモモさん達にホストクラブに連れて行かれ、
その後、篤が私を迎えに来てくれた事があった。


そのタクシーの中。


‘ーーそれより、モモ姉さん達から俺の事色々聞いたか?ーー’


モモさん達から、何か聞いていないか、
凄く気にしていた。


そんな前から…。


私にその事を知られたら、それを成瀬に話すと思って、そうやって気にしていたのだろうか。


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