LOVEPAIN⑦シリーズ全完結しました
「私があげた時計、使ってくれてるんだ」


それは、篤の誕生日に私があげた、
あのG-SHOCK。



「ああ。
時計があると、便利だしよ」


そう言って、そのG-SHOCKを見ている。


その姿を見ていたら、涙が溢れて来る。



そうやって、腕時計だけでも、
篤の側にいられる事に。


篤の前では、絶対にもう二度と泣かないと思っていたのに。


うつむき、涙を流す私に、篤は頭を撫でてくれる。



「俺、お前に泣かれるのが、一番堪えるから、泣くな」


分かっているけど、一回涙が出ると止まらなかった。


篤は頭を撫でる以上に私に近付かなくて、
その距離が、もう私と篤は二度と恋人に戻る事がないのだと思った。



「…私の事、嫌いにならないで…」



二度と篤とは恋人に戻れなくても、

この人に嫌われたくないと思った。



「ならねぇから。
さっきの、お前のDVD観たとかも嘘だから、
マジ泣くなって…」


困ったようなそんな篤の声を聞きながら、
最後迄、この人との事は綺麗なままだと思った。


ほんの少しでも、篤を嫌いだと思う気持ちも、残してくれたらいいのにって。

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