放課後TLクラブ
ことりちゃんだけ小さな教室に入れないじゃない! 隠れられない!
それなのに、
「やーっと、追いついたわよ。クソガキども!」
メイドさんに追いつかれてしまった。
どうしよう。あたしのせいで、絶対絶命究極の大大大ピンチ!
ゆっくりと階段から顔を出したメイドさん。こっちに階段がないのを確認したのか、恐い笑顔になる。
「ウフフ。もう、逃げ場はないわね」
どうしよう……。
「フン! そうはいくか! これでも喰らえ! ──あれ? クソッ! 使い切ったか」
蓮はポケットを裏返すけど、なにも出て来ない。
たぶんゴムの虫を使おうとしたんだ。
「あら~、ゴキブリのおもちゃももう品切れみたいね。やっぱりもう終わりみたいね~」
「ちくしょう……それならもう一度ダンスで」
「ちょっと待って、蓮」
前に出ようとした蓮をあたしは遮った。
虫のオモチャはもう蓮が使いきったみたいだけど、まだあったじゃない。
春音くんに言われてもってきた道具が。
どうせ試すならこれよ。
あたしは背負っていたリュックを床に置いて、中からまだ使っていなかった道具を取り出した。
「フランス人形? それがどうしたんだい。まさかそいつがわたしを倒すとでもいうのかい?」
「その通りよ!」
あたしは精一杯強く言うと、人形を宙に投げた。
すると、
「な!?」
フランス人形はフワフワと宙を漂い始めた。