放課後TLクラブ

「これを食べたら俺はすぐ、帰るから。んぐっ、ゴホゴホッ」


「ああ、もうそんなにあわてなくてもいいよ。気にしてないからいっぱい食べて」


「い、いや本当にもう帰る。みんな、ことりをよろしくな」


「当たり前じゃない。いまさら何言ってるの大悟さん。あたしたちが何回タイムリープしてやり直したと──」


「ん? やり直し?」


「って──、ああ、その、あれよ。あれ。ね、ねえ蓮」


「はっ!? あ、ああ、あれな……そうそうあれだよな春音」


「……え、ぼく!? あ、あはは。そ、そう、だね。あれは、ええと……、そうだ! そんなことより大悟さん。今日は別の仕事があるからすぐ帰るって言ってなかった?」


「お? おお、もうこんな時間か」


あぶないあぶない。なんとか春音くんがごまかしてくれた。
あたしたちがことりちゃんの誘拐事件を解決するために何回もタイムリープしてきたことは大悟さんにも誰にもナイショなんだった。


大悟さんは残っていたお味噌汁を豪快に飲み干して立ち上がると、


「ごちそうさまでした」


そう言って、台所にいるお母さんに挨拶をして玄関から出て行った。

出て行く直前、その後ろ姿を見た寝起きのお父さんに、


「うわあ! ク、クマだあ! お母さん! 家の中にクマがいるよー!!」


とか言われたけど、お父さんは毎朝よく寝ぼけてるから三十分後にはきっと忘れてるはず。


「お父さん。クマさんは普通の大人より体は大きいですけど、あみのお友達ですよ」


「ええっ! あれで小学生!」


「お父さんお母さん! クマじゃなくて大悟さんだよ。あと大悟さんは本物の大人だよ」


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