政略夫婦の愛滾る情夜～冷徹御曹司は独占欲に火を灯す～

「そうですねぇ。私が青扇に入学して、講堂で行われた新入生歓迎パーティでお見かけしました」

「うんうん。ドレスを着て社交ダンスを踊るやつでしょ？」

「はい。よくご存じで」

　青扇では社交会で恥をかかないようにと、年に数回社交ダンスを踊るパーティがある。飲んで騒いでというパーティではなくワルツなんかを踊るプチ紳士淑女のガチのパーティだ。

「新入生の私は戸惑うばかりで、パーティでも目立たないように会場の隅のほうにいたんです。なのに、うっかり上級生の男子生徒にぶつかってしまって、ちょっと絡まれて」

「うわーやだ。いるのねぇ、どこにでも」

　大きい声では言えないが、スクールカーストがはっきりしている青扇では、マウントの取り合いも世間一般より酷かったような気がする。嫌なものもたくさん見てきた。

「どの世界も同じですよ」

　細かいことは忘れてしまったけれど、絡んできた上級生は仲間を従えていた。