政略夫婦の愛滾る情夜~冷徹御曹司は独占欲に火を灯す~
「だって、なにも言ってくれないから」
あぁ、また余計なことを言ってしまうと思うのに、痺れたように理性が動いてくれない。
「加郷といたから、専務に誤解されたかも、しれないって……」
涙と一緒に、悲しい言葉が溢れだした。
「専務に、誤解されたくなくて」
「誤解?」
「専務のことが好きなんです。――でも、専務は私のことなんて、なんとも思ってないんでしょう?」
「紗空」
低く響いくその声は、悪魔が吹きつける甘い罠のようだと思う。
「大丈夫、わかっているから」
「……髪に虫が付いていて、取ってくれただけなんです」
「そうか、わかったよ。だから泣くな」
専務は私の頭を抱えるようにして抱き寄せる。
でも専務。わかったなんて言葉が聞きたいわけじゃないんです。
こういう時こそ怒ってほしいのに、他の男とふたりでランチなんかするなって言ってほしいのに、あなたは言ってくれないから。だから、涙が止まらないんです。
あぁ、また余計なことを言ってしまうと思うのに、痺れたように理性が動いてくれない。
「加郷といたから、専務に誤解されたかも、しれないって……」
涙と一緒に、悲しい言葉が溢れだした。
「専務に、誤解されたくなくて」
「誤解?」
「専務のことが好きなんです。――でも、専務は私のことなんて、なんとも思ってないんでしょう?」
「紗空」
低く響いくその声は、悪魔が吹きつける甘い罠のようだと思う。
「大丈夫、わかっているから」
「……髪に虫が付いていて、取ってくれただけなんです」
「そうか、わかったよ。だから泣くな」
専務は私の頭を抱えるようにして抱き寄せる。
でも専務。わかったなんて言葉が聞きたいわけじゃないんです。
こういう時こそ怒ってほしいのに、他の男とふたりでランチなんかするなって言ってほしいのに、あなたは言ってくれないから。だから、涙が止まらないんです。