政略夫婦の愛滾る情夜~冷徹御曹司は独占欲に火を灯す~
「紗空ちゃん、ご指名よ」
「ご指名?」
嫌な予感がして思わず眉間に力が入る。
「会長がまた紗空ちゃんのコーヒーが飲みたいんですって」
梨花さんは目を細めていたずらっぽく口角を上げるが、私には明るく答える余裕はない。
「またですか」
いけないことだと思いつつ、ついそんな言い方をしてしまう。
口から零れる重くて暗いため息。
須王会長は今一番私が会いたくない人だ。
はじめて呼び出された時は、お見合いをすすめられた。
相手は大阪にいるスオウグループの社員。優秀な人らしい。
今は結婚より仕事が楽しいのでと平謝りに頭を下げて断ったけれど、『両立すれば良いだろう? なにも結婚したからといって辞める必要はない』と、言われた。
『会ってみるだけでもどうだね?』と畳み掛けられた時には、心が折れそうになった。
少し考えてみますとその場は頭を下げた。宗方さんに相談し、宗方さんから会長に断わりをいれてもらって、こと無きを得たけれど。
「ご指名?」
嫌な予感がして思わず眉間に力が入る。
「会長がまた紗空ちゃんのコーヒーが飲みたいんですって」
梨花さんは目を細めていたずらっぽく口角を上げるが、私には明るく答える余裕はない。
「またですか」
いけないことだと思いつつ、ついそんな言い方をしてしまう。
口から零れる重くて暗いため息。
須王会長は今一番私が会いたくない人だ。
はじめて呼び出された時は、お見合いをすすめられた。
相手は大阪にいるスオウグループの社員。優秀な人らしい。
今は結婚より仕事が楽しいのでと平謝りに頭を下げて断ったけれど、『両立すれば良いだろう? なにも結婚したからといって辞める必要はない』と、言われた。
『会ってみるだけでもどうだね?』と畳み掛けられた時には、心が折れそうになった。
少し考えてみますとその場は頭を下げた。宗方さんに相談し、宗方さんから会長に断わりをいれてもらって、こと無きを得たけれど。