政略夫婦の愛滾る情夜~冷徹御曹司は独占欲に火を灯す~
遠目にもわかる。あのふたり普通じゃない。丸の内ならあるいはあれほど目立たないだろうけれど、ここは地方都市だ。
すらりと背が高く、コートを羽織り、恐ろしくスタイリッシュなビジネスマンのひとりは西園寺ホールディングスの西園寺洸さんで、もうひとりは彼の秘書鈴木翼さん。
「……どうして?」
思わずパン屋の前に立ち止まって通りに背中を向け、用もないのにスマートホンを取り出して画面を見つめ俯いた。
彼らは私に気づくことなく通り過ぎるはずだったのに――。
「吉月さん?」
――え!
「あ、ああ。こ、こんにちは」
「やっぱり吉月さんだった」
それから三十分後。
何の因果か、私は彼らとレストランで食事を共にしていた。
「よかったです。吉月さんと会えて」
偶然会った彼らは、ひと仕事を終えた後に食事をする場所を探していたところだったという。
すぐ近くのフランス料理のレストランに一緒に歩きながら案内すると、是非とも一緒にどうですかと誘われて断り切れず席についていた。
すらりと背が高く、コートを羽織り、恐ろしくスタイリッシュなビジネスマンのひとりは西園寺ホールディングスの西園寺洸さんで、もうひとりは彼の秘書鈴木翼さん。
「……どうして?」
思わずパン屋の前に立ち止まって通りに背中を向け、用もないのにスマートホンを取り出して画面を見つめ俯いた。
彼らは私に気づくことなく通り過ぎるはずだったのに――。
「吉月さん?」
――え!
「あ、ああ。こ、こんにちは」
「やっぱり吉月さんだった」
それから三十分後。
何の因果か、私は彼らとレストランで食事を共にしていた。
「よかったです。吉月さんと会えて」
偶然会った彼らは、ひと仕事を終えた後に食事をする場所を探していたところだったという。
すぐ近くのフランス料理のレストランに一緒に歩きながら案内すると、是非とも一緒にどうですかと誘われて断り切れず席についていた。