政略夫婦の愛滾る情夜~冷徹御曹司は独占欲に火を灯す~
 加郷が怪しいと思った時から、機密データーをネットワークから外し密かにセキュリティの強化を指示していた。

 きっかけは、俺に対する奴の挑戦的な目だった。

 いつかのお昼休み、加郷は俺に見せつけるように紗空に近づき髪に触れた。

 紗空が誤解されたかと思ったと泣いたあの時だ。

 加郷が俺をちらりと見たときの目に、あれは偶然じゃないと直感した。

 まるで、お前の恋人は俺がもらうとでも言いたげなあの目。

 俺と紗空を関連付け、俺を挑発するからには理由があるはずだ。それが知りたくて宗方に頼み奴の素性を徹底的に洗った。

 すると、額の傷が作り物だとわかった。加郷の母親はシングルマザーで織田不動産の秘書をしていたという過去も出てきた。

「加郷とは、どういう男だったんですか?」

「織田社長の隠し子だったんだよ。今回の事件を成功させれば織田をお前にくれてやると織田社長に言われたらしい」

 コウと鈴木にはなにかと世話になっている。いい機会なのでひと通り説明することにした。
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