政略夫婦の愛滾る情夜~冷徹御曹司は独占欲に火を灯す~
 会社から消えた加郷は、外部から俺のパソコンに侵入し、テレビ電話で俺に連絡したきた。

『あんたと織田の令嬢との縁談をすすめてもらおうか。そして、吉月紗空をただちに辞めさせろ。今後一切お前があいつとは関わらないと約束すれば、実行はしない』

 Enterキーに指を添え、返事いかんによっては今すぐ実行すると脅迫してきた。

『こんなことをする理由は何だ?』

『理由? 理由ねぇ。強いて言うなら、あんたが嫌いだからかな。そ・れ・だ・け。十分な理由だろ? 一週間待ってやる。その間に婚約発表と吉月紗空の退職が確認されなければ、実行する。じゃあな』

『待て。どうして吉月紗空が話に出てくるんだ』

『あんたの近くにいたら、紗空は不幸だ。いいな一週間だ。それを過ぎれば好きなように暴れさせてもらう』

 一方的に言うだけ言った加郷は、スッと画面から消えた。

 時間稼ぎのために条件を飲んだ。

 その間、社内ネットワークの調査と同時に、監視カメラからしらみつぶしに加郷を探し、見つけたのはネットカフェだった。
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