政略夫婦の愛滾る情夜~冷徹御曹司は独占欲に火を灯す~
学園にはほぼ毎日行くようになったが、昼寝に良さそうな場所を見つけてはよくサボりもした。
広い学園内は昼寝の場所に困らない。
そのひとつが薔薇の家だ。
滅多に人が来ないその温室は静かで昼寝をするには格好の場所で、授業をさぼってはよくそこで寝ていた。
俺は香りに敏感だ。
基本的に強い香りは苦手だったが、母が薔薇が好きで、須王邸には様々な薔薇が咲く庭がある。小さい頃から慣れ親しんでいる香りだからか薔薇の香りは嫌いじゃなかった。
三年生になったばかりのある日、いつものように薔薇の家で昼寝をしていると夢の中で少し違う香りがした。
クスッと誰かが笑う気配とともに、やわらかい何かが手に触れる。
その時、夢の中で奇妙な感覚を覚えた。
その感触と甘い香りが胸の奥に染み渡っていくような、不思議な感覚……。
目が覚めて手を見ると、ケンカでできた傷に絆創膏が貼ってあった。
花の絵が描いてあるピンク色の絆創膏。
そんな出来事はもちろん、乙女チックな絆創膏を見たのも初めてのことだった。
広い学園内は昼寝の場所に困らない。
そのひとつが薔薇の家だ。
滅多に人が来ないその温室は静かで昼寝をするには格好の場所で、授業をさぼってはよくそこで寝ていた。
俺は香りに敏感だ。
基本的に強い香りは苦手だったが、母が薔薇が好きで、須王邸には様々な薔薇が咲く庭がある。小さい頃から慣れ親しんでいる香りだからか薔薇の香りは嫌いじゃなかった。
三年生になったばかりのある日、いつものように薔薇の家で昼寝をしていると夢の中で少し違う香りがした。
クスッと誰かが笑う気配とともに、やわらかい何かが手に触れる。
その時、夢の中で奇妙な感覚を覚えた。
その感触と甘い香りが胸の奥に染み渡っていくような、不思議な感覚……。
目が覚めて手を見ると、ケンカでできた傷に絆創膏が貼ってあった。
花の絵が描いてあるピンク色の絆創膏。
そんな出来事はもちろん、乙女チックな絆創膏を見たのも初めてのことだった。