政略夫婦の愛滾る情夜~冷徹御曹司は独占欲に火を灯す~
深く頭を下げてから顔を上げると、振り返った社員の中からひとりの女性がこちらに向かって歩いてくる。
前髪をスッキリと横に流したショートヘアーの美人だ。
「吉月紗空さんね」
「はい」
「私は藤吉梨花。よろしくお願いします」
「こ、こちらこそ、どうぞよろしくお願いします」
「課長から聞いています。あなたの席に案内するわ」
そう言うと梨花さんは私が閉じたばかりの秘書課のドアを開けた。
私の席はこの部屋にあるんじゃないの?と違和感を覚えたけれど、ひとまずあいさつが先である。廊下に出るとすぐ声を掛けた。
「あ、あの、これからよろしくお願いします。私に秘書の仕事ができるかどうか不安ですが、一生懸命頑張ります」
梨花さんは艶めく口元を薄っすらと歪めて私を見下ろしていた。
「大丈夫よ、あなたに必要とされることは、他の秘書とは違うから」
(――え? それはどういう……)
いやな予感に怯えながら、案内されたのは女性用ロッカー。
あ、そうかロッカーねとホッとしてコートをハンガーに掛ける。
前髪をスッキリと横に流したショートヘアーの美人だ。
「吉月紗空さんね」
「はい」
「私は藤吉梨花。よろしくお願いします」
「こ、こちらこそ、どうぞよろしくお願いします」
「課長から聞いています。あなたの席に案内するわ」
そう言うと梨花さんは私が閉じたばかりの秘書課のドアを開けた。
私の席はこの部屋にあるんじゃないの?と違和感を覚えたけれど、ひとまずあいさつが先である。廊下に出るとすぐ声を掛けた。
「あ、あの、これからよろしくお願いします。私に秘書の仕事ができるかどうか不安ですが、一生懸命頑張ります」
梨花さんは艶めく口元を薄っすらと歪めて私を見下ろしていた。
「大丈夫よ、あなたに必要とされることは、他の秘書とは違うから」
(――え? それはどういう……)
いやな予感に怯えながら、案内されたのは女性用ロッカー。
あ、そうかロッカーねとホッとしてコートをハンガーに掛ける。