政略夫婦の愛滾る情夜~冷徹御曹司は独占欲に火を灯す~
横を向いて扉を見ると、専務室と記されたプレートが目に入った。
(ここはやっぱり須王さんの執務室? ということは私、須王さんの秘書?)
普通に考えればそうとしか思えない。
「うそでしょ……」
そして――。
梨花さんの背中を見送ってから、はや一時間。
私は人形のように固まったままカウンターデスクにいる。
なんにもすることがない。なーーんにも。
説明してくれるはずの課長は来ないし、電話も鳴らない。デスク下のパネルヒーターがポカポカと温かいので、うっかりすると寝てしまいそうだ。
不安はこじれて不満になり、次には悲しくなってきた。
(もしかして、私の存在忘れてる?)
もう一度秘書課を覗いてみようかと席を立ち、やっぱりもう少しとまた腰を下ろしを繰り返して更に一時間が経ったとき。「ごめんごめん」と慌ただしい音を立てて人が現れた。
「申し訳ない、待たせたね。会議がなかなか終わらなくて。うわー二時間か、ほんと、ごめん」
(ここはやっぱり須王さんの執務室? ということは私、須王さんの秘書?)
普通に考えればそうとしか思えない。
「うそでしょ……」
そして――。
梨花さんの背中を見送ってから、はや一時間。
私は人形のように固まったままカウンターデスクにいる。
なんにもすることがない。なーーんにも。
説明してくれるはずの課長は来ないし、電話も鳴らない。デスク下のパネルヒーターがポカポカと温かいので、うっかりすると寝てしまいそうだ。
不安はこじれて不満になり、次には悲しくなってきた。
(もしかして、私の存在忘れてる?)
もう一度秘書課を覗いてみようかと席を立ち、やっぱりもう少しとまた腰を下ろしを繰り返して更に一時間が経ったとき。「ごめんごめん」と慌ただしい音を立てて人が現れた。
「申し訳ない、待たせたね。会議がなかなか終わらなくて。うわー二時間か、ほんと、ごめん」