政略夫婦の愛滾る情夜~冷徹御曹司は独占欲に火を灯す~

(加郷ったら)

 澄まして書いたのかと思うと、思わず笑ってしまう。本当にシンプルなメールだけれど、孤独が解消された。

 そうだ、加郷に会って聞いてみよう。

 彼はこの席に来てパソコンをセットしたのだから、何か聞いているかもしれない。何しろ彼は、社内データの管理をしているだけあってなんでも知っているのだから。

 早速キーボードを打って返事を書く。

【ありがとうございます。
 早速で申し訳ないのですが、教えて頂きたいことがあるので、そちらに伺っても大丈夫でしょうか?】

 すぐに加郷から返事が来た。

【いつでもどうぞ】

 二時間放置されたのだから、少し席を外したところで問題ないだろう。

 さっそく秘書課に行き、今朝案内してくれた梨花さんに情報システム課に行きたい旨を伝えた。

「はーい。了解よ。聞かれたら答えるけれど、念のため自分のデスクの上にメモを残しておいてね」

「はい。わかりました」
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