政略夫婦の愛滾る情夜~冷徹御曹司は独占欲に火を灯す~
言われたとおり一旦席に戻ってメモを置き、足早にエレベーターへ向かうと、別の廊下のほうから賑やかな話し声が聞こえてくる。
振り返ると角から次々と人が現れた。ひとり、ふたり――。
(あっ)
須王さん!
大慌てて自分の席に戻った。
カウンターデスクに立ち、腕時計を見ると十一時三十分。この席に案内されてから、既に二時間半が経過していた。
最奥の専務室へと続くこの廊下は、須王専務に用事がある人しか通らない。
案の定、角を曲がって現れたのはふたりだけ。
須王専務と、もうひとりの若い男性は、少し前にエントランスホールで一緒にいるのを見かけている。おそらく彼が専務の専属秘書、宗方という人だろうと見当をつけながら、緊張して頭を下げた。
「吉月さんですね」
「はい」
「宗方です。はじめまして」
「よろしくお願いします」
予想どおり宗方と名乗った男性は、歳は三十代前半だろうか。清潔感に溢れ、涼やかな目元をしている。
振り返ると角から次々と人が現れた。ひとり、ふたり――。
(あっ)
須王さん!
大慌てて自分の席に戻った。
カウンターデスクに立ち、腕時計を見ると十一時三十分。この席に案内されてから、既に二時間半が経過していた。
最奥の専務室へと続くこの廊下は、須王専務に用事がある人しか通らない。
案の定、角を曲がって現れたのはふたりだけ。
須王専務と、もうひとりの若い男性は、少し前にエントランスホールで一緒にいるのを見かけている。おそらく彼が専務の専属秘書、宗方という人だろうと見当をつけながら、緊張して頭を下げた。
「吉月さんですね」
「はい」
「宗方です。はじめまして」
「よろしくお願いします」
予想どおり宗方と名乗った男性は、歳は三十代前半だろうか。清潔感に溢れ、涼やかな目元をしている。