政略夫婦の愛滾る情夜~冷徹御曹司は独占欲に火を灯す~
退職届は二カ月前に申し出る決まりになっているから、今出しても年明けか、と 思いながら給湯室へ向かう。
カチャカチャと音がするので誰かいるのだろう。まだ早いこの時間にかち合うのは珍しい。
憂鬱な気分を振り切って、笑顔で入ると梨花さんがいた。
秘書課に異動になったときに案内してくれた梨花さんは、その後も何かと声を掛けてくれる。整ったクールな顔立ちのせいか近寄りがたい印象を受けるけれども、話してみると陽気で優しい。今ではすっかり親しくしてもらっている。
「おはようございまーす」
「おはよう」
梨花さんはガサガサと茶葉とかお菓子の箱を確認していた。
「どうかしました?」
「会長がお見えになるんだって。和菓子がないわね、買っておかなきゃ」
梨花さんは会長の担当だ。会長は和菓子を好むらしく特に羊羹が好きらしい。
須王会長は須王専務のお父様。スオウグループの頂点に君臨される方で、普段は大阪にいるが、時々東京に来る。
カチャカチャと音がするので誰かいるのだろう。まだ早いこの時間にかち合うのは珍しい。
憂鬱な気分を振り切って、笑顔で入ると梨花さんがいた。
秘書課に異動になったときに案内してくれた梨花さんは、その後も何かと声を掛けてくれる。整ったクールな顔立ちのせいか近寄りがたい印象を受けるけれども、話してみると陽気で優しい。今ではすっかり親しくしてもらっている。
「おはようございまーす」
「おはよう」
梨花さんはガサガサと茶葉とかお菓子の箱を確認していた。
「どうかしました?」
「会長がお見えになるんだって。和菓子がないわね、買っておかなきゃ」
梨花さんは会長の担当だ。会長は和菓子を好むらしく特に羊羹が好きらしい。
須王会長は須王専務のお父様。スオウグループの頂点に君臨される方で、普段は大阪にいるが、時々東京に来る。