政略夫婦の愛滾る情夜~冷徹御曹司は独占欲に火を灯す~
 LaLaさんとだけは親し気に話をしていたけれど、LaLaファンである私にはわかる。彼とLaLaさんは異性を超えた友人で、彼に下心はなかったと思う。

「あ、でも梨花さん言ってませんでしたっけ? ニューヨークでは女性と噂があったって」

「ああ。パリコレのモデルとか石油王の令嬢ね」

 うんうんと頷く。

 須王専務はニューヨークでいくつか女性の噂があったらしい。というのは梨花さんが言っていた話だ。梨花さんは私が専務の秘書だから、専務の話は知っているほうがいいだろうと嘘でも本当でも聞かせてくれる。

「それがニューヨークから帰ってきた人に話を聞いてみたら、なんてことないのよ、ただパーティで同伴しただけみたい」

「そうなんですか」

「やっぱり紗空ちゃんなのかもね」

「なにがですか?」

 梨花さんは目を細めてニヤリと微笑む。

「専務の好み」

「もー、本当にやめてくださいよ。絶対にそれはありませんって。現に……」

「ん?」
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